2012.02.07
障害者自立支援法に代わり政府が今国会に提出を予定している新法の概要が7日、明らかになった。難病患者を障害福祉サービスの給付対象に含めることや、現行の障害程度区分を施行後5年で見直すことなどを盛り込んでいる。一方、サービスの「原則無料」は見送るなど、政府の障がい者制度改革推進会議の部会が昨年8月にまとめた提言の反映は一部にとどまった。
06年にスタートした障害者自立支援法は、サービス利用料の1割を本人が負担する「応益負担」が批判を受けた。廃止を掲げた民主党の政権になり、政府は10年6月に廃止を閣議決定。当事者らを中心にした部会が骨格提言をまとめ、利用者負担の「原則無料」を打ち出した。しかし政府は10年4月から低所得者を無料とし、昨年10月時点で利用者の86%が負担ゼロとなっていることなどから、新法にさらなる負担軽減は盛り込まず、今後の検討課題とした。
障害者の範囲は、障害の種類によって支援を受けられない「制度の谷間」をなくすため、新たに難病患者を給付対象に含める。具体的には臨床調査研究分野の130疾患を想定している。
現行の障害程度区分(6段階)については、提言が本人の意向を反映できるよう求めたのに対し、調査・検証のうえ、新法では施行5年後をめどに見直すとした。
自立支援法を廃止して全く新しい法律を作った場合、全国約6万のサービス事業者の再指定や自治体の条例の書き換えなどが必要になる。このため、厚生労働省は自立支援法を改正して名称を変更することで、事実上同法を廃止したと見なす方針。
新法は来年4月1日施行予定。【石川隆宣】