2011.05.24
民主党代表 菅 直人 様
民主党幹事長 岡田 克也 様
障害者基本法改正への要望
日本障害フォーラム
代表 小川 榮一
日本障害フォーラム(JDF)は本年4月22日付で内閣府から国会に提出された障害者基本法の改正案について、障害者権利条約および障害者制度改革推進会議で取りまとめられた「障害者制度改革の推進のための第二次意見」(第二次意見)の内容等を踏まえ、以下の点を要望いたします。
記
1.前文を挿入すること
障害者基本法の今回の改正は、今までの基本法の制定及び改正に培われた成果を土台とし、21世紀最初の国連人権条約である障害者権利条約を国内で実施するための法整備の第一歩となる改正である点を示すべきです。この趣旨にのっとった前文を入れてください。
2.法律の目的は権利の保護・尊重であること
改正案第一条「目的」に関連して、障害者権利条約の理念に基づいて、新しい障害者基本法の目的は障害者の権利の促進や保護であることが明確にわかる書きぶりにしてください。
3.障害者の定義はいわゆる谷間の障害者を作らない書きぶりであること
改正案第二条の障害者の定義について、障害の社会モデルの考え方に則して、いわゆる谷間の障害者を生まない包括的な規定にしてください。発達障害、高次脳機能障害、難病等(慢性疾患に伴う症状)を含むすべての障害者を網羅している書きぶりにしてください。
4.改正案第三条の「可能な限り」という文言を削除すること
改正案の基本原則(第三条)の二,三の「可能な限り」という文言について、障害者基本法は、障害者施策全般の理念を示す法律です。障害者だけがなんらかの制約が加えられる印象を与える「可能な限り」という文言をすべて削除し、「他のものと平等に」という条約の規定を踏まえた書きぶりにしてください。
5.合理的配慮を明記すること
改正案第四条の二に関連して、「合理的な配慮」という文言を「合理的配慮」に変えてください。障害者権利条約第2条等で規定する合理的配慮と同一の概念であることがわかる書きぶりにしてください。
6.教育条項においては、インクルーシブ教育の原則を明確にすること
改正案第十六条の教育条項に関連して、第1項で、障害のある子どもと無い子供が「共に学ぶ」インクルーシブ教育の原則が明確になるようにしてください。「可能な限り」は削除してください。
7.労働条項(職業相談等)においては、労働政策と福祉政策の一体的推進を明確にすること
改正案第十八条、第十九条の労働関連条項について、国際的な動向や第二次意見を踏まえ、労働施策と福祉施策を一体的に展開して、働くことを希望する障害者が合理的配慮を受けながら、できるだけ障害者が障害のない人と平等に一般労働法規の適用が受けられるようにするということを明確にする書きぶりにしてください。
8.附則
障害者権利条約の批准や東日本大震災等における緊急時の障害者についての規定が必要であり、三年後の見直し規定を入れてください。さらに、障害者基本法を権利条約を基本とし、障害者に関わる全ての法律が障害者基本法の目的に沿うものとなるよう、定期的に見直す趣旨の条項を入れて下さい。
以上