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2008.10.18
<記事全文>大きさ2、3センチの色とりどりの犬や豚、象――。奈良市学園朝日町の地域活動支援センター「たむたむ荘」に通う精神障害者が、携帯電話やバッグのアクセサリーになる手作り革細工に励んでいる。
5月には新たな店も開業するなど販売ルートは県内外にじわじわ広がり、女性たちに「かわいい」と人気上昇中だ。
センターはNPO法人「ふぁ〜ちぇ」が運営し、障害者の就労支援や憩いの場として01年にオープン。03年ごろから革細工の制作を始めた。今年5月に開業した「コップ・雑貨の店 ぽらりす」(同市学園大和町)で販売するほか、県内外の雑貨店やギャラリー、病院売店など約20カ所にも卸し、
奈良市芝突抜町のコミュニティーショップ「CHIRORI」では一番人気の商品の一つに。年齢層を問わず、お土産としてまとめて買う人も多いという。
革職人が型に合わせてくりぬいた革に水をつけて、微妙な力加減で脚や耳、しっぽなどを形作る。慣れた人は1時間で数十個手がけるが、始めたばかりの人はほんの数個。
形が整うと乾かし、コーティング剤を付けて出来上がり。センターで買うと革ひも付きは350円、ストラップ用の細ひも付きは420円。工賃として1個あたり約60円をセンター利用者は手にする。
一つ当たりの工賃としては比較的高いこともあり、革細工作りを希望する利用者は増え、今では定員の20人に達した。
指導するのはベテランの利用者ら。奈良市の男性(30)は2年ほど前から通い始め、今では週2回通う。1時間に数十個作れるほど手慣れ、他の利用者だけでなく、公民館などでも教える。
「自分で作ったものを『かわいい』と言ってもらえるとうれしい。ここに来て、人と話すのが楽しいと思うようになった」
精神障害者の雇用は厳しい現状があるが、施設長の麻まりさんは「長時間座っての細かい作業は訓練になる。教えたり、自分で作った物を買ってもらえたりすると自信につながる」と話す。
センターは18日に県庁前広場で開かれるイベント「なら魅力彩発見」に参加し、革細工教室を開く。
問い合わせはたむたむ荘(050・5004・6882、木・日・祝日休み)、ぽらりす(050・5005・4036、水・日・祝日休み)へ。革細工はホームページ(http://www3.kcn.ne.jp/〜face/)でも販売している。