2010.12.14
障害者への福祉サービスを定めた法律が改正されたそうだけど、具体的にどう変わるの?
この法律は「障害者自立支援法」で、今月、改正法が国会で成立した。項目ごとに異なるが、2012年4月1日までに施行される。
自立支援法は、身体、知的、精神障害者への支援を一本化し、2006年に始まった。だが、福祉サービスを利用した障害者が、費用の1割を支払う「応益負担」を原則としたため、「障害が重く、多くのサービスを必要とする人ほど負担が大きくなる」との批判が集まっていた。
そのため今回の改正では、応益負担から、家計の支払い能力に応じて支払額を決める「応能負担」へと、負担の方式を変えることにした。現在の制度でも、低所得層の負担の減免があるが、改正により、応能負担であることが法律上も定められ、その趣旨がはっきりすることになる。
もう一つの改正点は、福祉サービスの対象として、身体、知的、精神障害に加え、発達障害を位置づけたことだ。自閉症やアスペルガー症候群、注意欠陥・多動性障害、学習障害などがこれにあたる。
新たな給付も盛り込まれた。
日常生活支援が必要な人が共同で暮らすグループホーム、介護も必要な人向けのケアホームは、家賃の負担が大きかったため、所得などの条件を満たせば、利用者は特定障害者特別給付費を受けられるようになる。1人では外出が難しい視覚障害者には、ヘルパーらが援助する「同行援護」サービスを創設することが決まった。
障害児に関しては、同時に児童福祉法も見直され、通所で療育を行う児童発達支援などが導入される。学齢期の子どもの放課後活動や社会生活へ向けた訓練の場になってきた放課後型のデイサービスも制度化される。対象は18歳未満だが、必要なら20歳になる前まで引き続き利用できる。
自立支援法は、昨年9月に長妻厚労相(当時)が将来の廃止を表明。これに代わる新法「障害者総合福祉法(仮称)」の制定に向け、内閣府の障がい者制度改革推進会議が議論を進め、13年8月の新法施行を目指している。だが、その間の制度の改善を求める声が上がり、つなぎの緊急措置として、今回の改正が行われた。(梅崎正直)