2010.03.30
奈良の障害者自立支援法違憲訴訟で和解が成立した29日、奈良市に住む原告の小山冨士夫さん(53)は「裁判をやってよかった」と笑顔を見せた。原告弁護団も「障害者の応益負担は間違いと認めた勝訴的な和解。憲法を論じる裁判が1年で決着したのは画期的だ」と国の対応を評価した。
小山さんは、市内の福祉作業所で紙すきの仕事をしているが、同法の施行で、毎月1500円の「施設利用料」が必要になった。「働いているのに、お金を払う必要があるのか」との疑問から提訴を決意した。
この日、法廷で意見陳述した小山さんは「これからもっと仕事を頑張りたい。給料で釣りにも行きたい」と希望を語った。和解成立後の記者会見では、「つらいこともあったが、最後までやると決めて頑張った。みんなの支えがあってできた」と、支援者らに感謝した。
2009年4月の提訴を受け、障害者や福祉関係者らが「勝利を目指す奈良の会」を発足し、小山さんを支援。弁護団長の池田直樹弁護士は「奈良の障害者みんなが勝ち取った和解だ」と喜びを語り、会長の玉村公二彦・奈良教育大教授は「国際的にみても意味ある和解。今後も障害者の健康、文化的な生活を守る活動を続けたい」と話した。