2013.09.03
障害者:理解し、支える社会へ 特徴知って
京都市でフォーラム、人権と生活考える /佐賀
障害への無理解から障害者がトラブルに巻き込まれるケースが起きる中、障害者の人権と地域生活を考えるフォーラムが、京都市で開かれた。知的障害を持つ佐賀市の安永健太さん(当時25歳)が自転車で停車中のバイクに衝突し、警察官に取り押さえられて死亡した事件について、遺族が「警官の障害への無理解が原因」と報告。一方、障害者団体などが警察と交流し、理解を深めているという取り組みも発表され、約220人が熱心に耳を傾けた。
「きょうされん近畿・北陸ブロック」が主催した。事件は2007年9月、佐賀市で発生。安永さんを取り押さえた警官5人のうち1人が付審判事件として特別公務員暴行陵虐致傷罪に問われたが、無罪が確定した。しかし、遺族は「真相を知りたい」と佐賀県を相手取って民事裁判を起こし、来春にも判決が出る見通しだ。
フォーラムでは安永さんの父で自営業、孝行さん(52)が「健太がバイクに衝突し倒れた時、普通なら『大丈夫?』と心配するはず。健太は『何をしているんだ』と警官に怒鳴られたと聞く。挙動から薬物中毒などを疑ったらしいが、パニックになりやすいなど、知的障害の特徴を警官が理解してくれていたら、こんなことにはならなかった」と訴えた。
また、大阪や神戸、和歌山、奈良で障害者問題に取り組む弁護士ら4人が「地域で安心して暮らしていくために」をテーマにシンポジウムを開催。辻川圭乃弁護士(大阪弁護士会)は警官に知的障害などを理解してもらうため、ハンドブックを作製し、全国の警察署に配布している活動を紹介。また、障害者と警官の交流会も行い、理解を深めている様子を話した。
奈良の障害者団体のメンバーは警察に加え、コンビニなどでも障害を知ってもらう運動について報告。一方、神戸で活動する障害者団体のメンバーからは凶悪事件が発生した際、障害者が犯人と疑われ、傷ついている実態が明らかにされた。また、和歌山の社会福祉法人の職員は精神障害者の当事者の会が作られ、交流している活動について話した。 【玉木達也】