2012.06.26
「民主党政権には裏切られた思いです」。先日、改正障害者自立支援法が成立したことに岡山県内の福祉関係者が悔しさをあらわにした
自立支援法の廃止は民主党が政権公約に掲げたものだ。立ち上げた制度改革の推進会議には障害者を多くメンバーに入れ、新法の提言もまとめた。だが最終的には提言はほとんど反映されず、現行法の修正にとどまった。「政権の単なるポーズだったのか」との批判があちこちで聞かれる
廃止を断念した最大の理由は財源確保の難しさだろう。介護保険でも今春の報酬改定は「在宅ケア重視」という国のかけ声の裏で単にサービスを抑制する仕組みが目立った。年金、医療、子育てを含めて社会保障制度の行き詰まりを感じる
だからこそ消費税を上げるとしても国民にはその先の「安心」が見えない。社会保障改革の主要課題を棚上げしたまま消費税増税法案がきのう、衆院で可決された
採決では民主党議員の多くが造反し、党の亀裂が決定的となった。野党はこの機に乗じて衆院解散に追い込む構えだ。社会保障の設計図を描くべき政治は混迷を極めている
これまで先送りしてきた抜本改革は本当に実現できるのか。疑問を感じる。選挙にらみのポーズではなく、将来への責任ある姿勢を示さねば増税は空手形になりかねない。