2012.06.20
障害者総合支援法は自立支援法の抜本的改正にはならなかった。背景にあるのは民主党が掲げた政治主導の挫折。政権交代を実現した09年衆院選のマニフェストに自立支援法廃止を盛り込むなどハードルを上げすぎたばかりに、関係者の大きな失望や反発を招いた。
「期待した政治主導はほとんど感じられなかった。厚生労働省はねじれ国会以降、政治主導の危機が去ったとみたか我々部会三役に何も言わなくなった」
こう憤るのは、障がい者制度改革推進会議総合福祉部会で副部会長を務めた茨木尚子・明治学院大教授。10年参院選大敗を機に政治主導が急速にしぼんだと感じたという。
自立支援法廃止の前に立ちはだかったのは、財源の壁とねじれ国会だった。加えて、廃止による自治体側の事務負担増大という事情も。そこで民主党は社会保障費の伸びを抑制し、他の施策との整合性を重視したい厚労省と歩調を合わせ、自立支援法をつくった自民・公明両党にも配慮して成立を優先させた。
その結果、新法は自立支援法の枠組みに沿うものに。障害者らも議論に加わった同部会の部会長、佐藤久夫・日本社会事業大教授は「何のために招集されたのか」とあきれる。