2012.04.15
「私たちからの発信〜私たちはこんな新法を願います」
きょうされん奈良支部
3月13日に、「障害者総合福祉支援法案」が閣議決定されました。しかし、自立支援法廃止し、新法策定を当事者の意見を尊重してつくるという自立支援法違憲訴訟の基本合意文書を反故にし、法の名称を変え内容は修正程度というものでした。
政府審議体である総合福祉部会において当事者等が参画してつくった新法の骨格提言からもかけ離れ、およそ障害者権利条約にも及ばない内容です。
85%の利用者が応益負担の無料化となり、実際には応能負担となっているという論調ですが、地域で暮らす障害のある人の中には、「行きたくても行けない」人も多くいます。
一般企業を離職し施設に通うには、応能負担が壁となって利用を躊躇することもあります。離職の苦しみ、将来への不安に加えて、改めて障害があることを自己責任として感じさせられることになります。障害のある人が真に権利の主体となるには、法の根幹として、このような仕組みが残されていることは受け入れられるものではありません。
また、障害認定区分についても「出来るか、出来ないか」「問題があるか、ないか」という視点であり、障害のある人の尊厳を損なうものとなっています。今般改正された障害者基本法では、「社会の障壁」により制限を受けているものが障害であると定義されています。見定めていくべき視点は、社会にあるバリアの方ではないでしょうか。障害のある人のニーズに基づいた支給決定のあり方をのぞみます。
報酬制度についても、事業運営の安定化や、専門性を持ち志し高く、障害のある人と向き合う人材の確保が考えられたものではありません。利用者が来ない日にも、有形無形の支援を行い丁寧な関わりを行っているのは、どの事業所も同じです。日払い制度から月額払い制度への変更をお願いします。
奈良県内にも新体系に移行できず、事業所の存続が出来なくなった事業所があります。新法への期待の裏に、今まで草の根で踏ん張ってきた小さな事業所が声を出し切れずになくなってしまう事は到底容認することは出来ません。新体系移行後も、存続できなかった施設への後追い調査と実態把握、そして活動が続けられるような仕組みを作って下さい。
きょうされんは、基本合意と骨格提言が尊重された障害者権利条約の批准に値する法律となるよう、国会上程後も引き続き多くの障害のある人びとや団体、市民の皆さんと手を携えて、あきらめることなく力を尽くしていくことを表明いたします。