2013.03.11
今日からはじまる"ほんとう"の支援
~東日本大震災から2年を迎えての声明~
2013年3月11日
きょうされん東日本大震災対策本部
今日3月11日で、東日本大震災から2年が経ちました。
あの日14時46分に日本列島の東側を襲った大地震、1時間もしないうちに次々と沿岸部に押し寄せた巨大津波。家が、車が、そして人がどす黒い津波に流されていきました。未曾有の大地震は原子力発電所の「安全神話」を覆して、福島第一原発事故につながりました。
1万5881人の命が奪われ、2668人の行方がわからないままです。今なお31万5000人が不自由な避難生活を強いられています。収束の見通しがみえない原発事故は、ぬぐいきれない不安を植え付け、住まいや健康を脅かし、家族や地域の絆を引き裂き、新たな差別や排除を生み出しています。
被災地では深い悲しみと喪失の中でも、一人ひとりの懸命の努力で、地域の力と駆け付けた支援者たちとの共同作業で、ようやく復興の兆しが見えてきました。
自治体行政自体が大きな被害を受けて十分な動きがとれない中で、多くのボランティア、支援団体、そして被災した人たち自らが知恵と気持ちを束ねて、復興の道を歩み始めています。
裏を返せば、この甚大な震災被害に対する政府や東京電力などの対応は、被災地の住民の気持ちや生活実態と、あまりにもかけ離れているといわざるをえません。あの日から今日で2年なのです。
わたしたちは震災発生直後から独自に、また関係団体と連携しながら障害当事者の安否や事業所の被害状況の確認、救援物資の調達、被災や避難生活の実態把握、事業所での継続的な支援、支援募金の呼びかけなど、全国各地の心と力を集めて復旧・復興に向けた支援を続けてきました。
あの日からまる2年が経った今日、被災地や全国のみなさんに以下の点を心から呼びかけます。同時に、障害のある人や家族・関係者に震災前の日常の生活が戻るまで、また被災地を含む全ての地域が震災前よりも差別や排除の無い、分けへだてのない地域になるよう、わたしたちはこの先も支援を続けていくことを決意します。
"ほんとう"の支援は、今日からです。
1.被災地の障害のある人の死亡率が、住民全体の死亡率の2倍以上という実態が報じられています。国・政府を中心として、全ての被災地で早急に障害のある人の被災状況を検証するとともに、現在の生活や就労実態、介護のニーズなどを調査することを求めます。
2.被災地では、障害のある人の移動支援や生活面での人的支援などが圧倒的に不足しています。また、原発事故による販路の喪失や風評被害による仕事の減少、福祉事業所における働き手の不足等の課題も引き続いてあります。こうした事態に対して、「経過措置」を含め特別かつ緊急対応を講ずることを、国・政府に対して求めます。
3.政府ならびに全ての自治体において、「災害時要援護者」支援のしくみの整備または見直しを行なうこと、その検討機関に障害当事者を加えて、地域性ならびに当事者の要望を反映させることを求めます。
4.わたしたちは、あらゆる地域で結成以来35年間築いてきた「人と人のつながり」を今こそ発揮します。そして、障害のある人もない人も分けへだてのないインクルーシブな地域をつくり、その理念を障害者施策ならびに防災対策に反映させる実践を築いていきます。