2012.04.27
働く障害者の56%年収「100万円以下」 作業所などで就業
作業所などで働く障害者の5割余りが年収100万円以下にとどまっている事が、障害者団体が昨年末に行った調査でわかった。障害の種類を問わず広く障害者の収入を調べたデータはこれまでほとんどなかったが、多くの人が低収入で厳しい生活を余儀なくされている実態が浮かび上がってきた。
障害者が働く小規模作業所などが加盟する「きょうされん」が、障害福祉サービスを利用して働く身体、精神、知的などの障害者を対象に調査。障害者本人や親ら約1万人が回答した。
障害年金や賃金などを合わせた年収が「100万円以下」の人は全体の56%、「100万円超〜200万円以下」は43%。「200万円超」は1%にすぎなかった。障害年金だけでは暮らせず、生活保護を受ける人も10%いた。
一般の労働者を対象にした国の民間給与実態統計(2010年)では、「100万円以下」の割合が7.9%、「100万円超~200万円以下」は15%。障害者の収入は日本の平均的な水準を大幅に下回る。
また、親や兄弟らと暮らす障害者は75%にのぼり、一人暮らしは8%にとどまった。収入が少なく、家族らに頼らざるを得ない人が多いとみられる。
調査結果について、日本障害者協議会の藤井克徳常務理事は「障害者基本法は『他の者との平等を目指す』とうたうが、生活の土台となる収入は、政策論議でもほとんど取り上げられていない。平等な社会をめざすなら、障害年金の水準や就労のあり方を議論する必要がある」と話す。