2012.03.05
政府が障害者自立支援法の改正案を国会に提出する方針を固めたことについて、福祉サービス利用料の原則1割負担を定めた同法は違憲として国などを訴えていた訴訟の元原告らが5日、東京など全国14カ所で一斉に記者会見し、国は同法廃止などを定めた基本合意を守るよう訴えた。
元原告らは14地裁で争われた訴訟で、障害者に自己負担を課すのは法の下の平等を定めた憲法に違反すると主張していた。2010年、13年8月までに同法を廃止して新制度を実施するとした基本合意文書に調印し、全訴訟で和解が成立した。
しかし、厚生労働省は今年2月、福祉サービスの原則無料化を見送る改正案をまとめた。同省は取材に対し、「低所得者の無料化は既に実現しており、形式的には法改正だが事実上の廃止だ」と説明している。
脳性まひの長女を持つ深沢智子さん(74)は東京・霞が関で記者会見し、「基本合意を勝ち取り、総理大臣が車椅子の娘に謝罪してくれた。国が約束をほごにするなんて信じられない」と訴えた。