2012.03.11
あの日から一年が経ちました。しかし、あの日は終わっていません。
「信じたくない、夢であってほしい」と胸が痛かったあの日の光景、しかし夢ではありませんでした。1万5854人の命が奪われ、なお3203人が未だに行方不明のままです(2012年3月8日警察庁発表)。きょうされん関係者の中でも、6人の利用者が犠牲に、4カ所の事業所が全半壊しました(2012年3月8日現在)。さらに信じたくない事態が起きました。「永遠に安全」とされていた原子力発電所が爆発して、大量の放射能が飛び散ったのです。
「仲間は?作業所は?」・・・3月11日に「きょうされんはひとつ」と東日本大震災災害対策本部を設置し、全国あげての体制をつくり、支援活動に入りました。「何かしなくては」「できることは何か」全国津々浦々から心配と激励、応援の気持ちが物・人・お金となって集められました。岩手、宮城、福島ではJDF(日本障害フォーラム)に結集して、さらに大きな支援の輪の中で活動を続けてきました。延べ5000人以上の職員が全国各地から被災地支援に入り、8000万円の募金は支援活動や28カ所の事業所の改修、備品購入などに活かされています。
一年が経過しました。原発により故郷を置いてきたけど、元のメンバーが集まって再開した作業所があります。仮設住宅での生活が始まりました。「絶望」の中から被災地のメンバーは歯を食いしばって頑張っています。暗闇の向こうにほんの少しずつ明かりが見え始めています。
しかし、まだ障害のある人の被災、避難生活の実態は分かっていません。3県の障害のある人が犠牲になった割合は、市民全体の2倍にあたると報じられています。原発事故の影響で利用者の給料は半額以下に、仕事の減少が続くばかりか、職員が確保できず利用希望に応えきれない事態になっています。
一年が経過しました。でも、あの日はまだ続いているのです。きょうされんは、東日本大震災から一年を迎えるにあたり被災地の仲間と一緒に新たな決意を表明し、多くのみなさんにも共鳴いただいて、共に手をとりあって歩んでいただくことを呼びかけます。
もう二度と「想定外」と言ってはいけません。「人災」を二度とくり返してはいけません。
1. 被災地に普段の生活と仕事、笑顔とつながりが戻ってくるまで、他団体と連携して全国的な支援を続けます。
2. 障害のある人にとってさらに暮らしやすい地域となるよう、行政や民間組織と連携して復興にとりくみます。また、復興の過程に、被災地の障害のある人とその関係者が主体的に参画できるよう政府や自治体に働きかけます。
3. どんな災害が起ころうとも、障害のある人も含めたすべての人の命が守られ、大切にされる地域となるよう、今回の震災被害と救援・支援の検証を行政に求めます。同時にわたしたち自身も支援活動などを検証して、今後の防災や災害時の対策づくりを進めます。
4. そのためにも、災害時だけでなく平時も含めて、真に障害のある人の権利と尊厳を担保する総合的な福祉法制をはじめ障害者制度改革の推進へ、関係者と力を合わせて全国各地で運動を進めます。
2012年3月11日
きょうされん 理事長 西 村 直