<障害者権利条約批准の最低条件、差別禁止法>
昨年末の政権交代後、「すべての審議機関を見直す」与党方針の下、障害者政策委員会は開催されていません。これまで差別禁止法についても、自民党有力議員は「日本の法律に権利という概念は馴染まない」等の国会答弁がなされていました。ところが2月に入り、自民・公明の両与党が、民主党に呼びかけ、3党で同法案提出をめざす動きが急浮上しました。
2月28日には内閣府に障害者施策に関するワーキングチームが設置され、「障害を理由とする差別の解消に関する法律案」のとりまとめや、団体へのヒアリングが始まっています。
公明党のマニュフェストには「差別禁止法制定」があったこともベースにありますが、参院選に焦点をあてた動きといえ、5月上旬頃に閣議決定し、上程、今国会では継続審査に持ち込み、選挙の結果によって中身の水準を決める・・のではないかとの見方もあります。
<差別「解消」法?・・・わたしたちのめざす水準は>
制度改革推進会議の差別禁止部会が昨年9月14日に提出した意見書は、(1)差別の定義(不均等待遇と合理的配慮の欠如)、②罰則規定はないが、救済・紛争解決の場を法制化が大きな特徴です。
しかし、合理的配慮の欠如については経済団体の反発が強く、障害者基本法第4条にある理念規定とあまり変わらない水準に落とされてしまうのではないかという危惧があります。
救済制度についても、先の国会で人権委員会法が成立しなかったことの流れからも、障害者だけの救済制度は骨抜きになるのではないか、といった不安があります。何より「解消」という語は、差別が起こってからの対応というニュアンスが強く、差別を予防する、差別のない社会をめざす水準から大きく乖離してしまいます。
<地方での運動が重要!!>
~奈良県に障害者差別禁止条例の制定をめざす会に結集して~
現在6つの自治体で制定されている差別禁止条例、また、京都などですすめられている条例制定の動きに、国の法案水準が大きく影響してきます。奈良でも上記「めざす会」が2013年4月27日に中部公民館で「障害を理由とする差別をなくすための奈良県条例」をつくる第一回実行委員会を立ち上げます。
きょうされん奈良支部も尽力し、学習と共に、地方から声をあげていくことが大事です。6月地方議会での、「差別禁止部会の意見書を尊重した差別禁止法制定を求める意見書」採択にも取り組んでいきましょう。
<この他、障害者福祉をめぐる動きから>
・精神保健福祉法改正で保護者規定が廃止されるものの、肝心の入院時家族同意が残される。
・2008年度から先延ばしされていた、精神障害者の法定雇用率義務付けが、ようやく4月から施行される。
・成年後見人がつくと選挙権を失うとした公職選挙法の成年後見規定が違憲判決をうけ、今国会中に法改正の方向が出される。(小針康子)