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優生保護法
神戸地裁判決について
8月3日、兵庫県神戸地方裁判所で、優生保護法判決が言い渡されました。判決は、「1原告らの請求をいずれも棄却する。2訴訟費用は原告らの負担とする」の主文の言い渡しのみで、実に3秒程度で終了しました。
8月19日に優生裁判情報交流会が行われ、奈良から2人が参加しました。
判決文で「旧優生保護法の立法目的が極めて非人道的であった、個人の尊重を基本原理とする日本国憲法の理念に反することは明らかで幸福追求権・自己決定権を保障する憲法13条、不合理な差別的取り扱いを禁止し、法の下に平等を定める14条1項、家族に関する事項について個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚すべきであるとする24条2項にそれぞれ違反する」とあるようにかなり強い調子で違憲であることを述べたことは、評価できることでした。
しかし、議員の不作為を一部認めたものの、厚生省・厚生労働省の優生手術を推進したことの不作為は認めないとのことに、非常に違和感や矛盾を感じざるを得ません。議員の不作為を一部認めるのであれば、司法として国を正すべきではないでしょうか。
結局、説明責任を果たしていないこと、判決理由が矛盾していること、違憲であるが20年が経過(除斥期間を適用)しているため、請求棄却となりました。
しかし、最高裁では、除斥期間の認めない判決が前例として、塵肺訴訟・B型肝炎があります。また、「除斥期間」そのものの撤廃の立法化運動も起こり始めています。
明石市では手術を受けた人の配偶者までも対象とした給付金支給に向けて「優生保護法被害者等支援条例案」を作りはじめています。奈良でも独自の支援条例策定に向けて要望をしていきたいと思います。
(支部長 麻 まり)