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12月9日、奈良市中部公民館にて滝山病院事件を考える学習会が開催されました。講師は、相原啓介弁護士でした。相原氏は、精神保健福祉士でありその後に弁護士資格を取得されました。ルポ死亡退院〜精神医療・闇の実態〜(NHK ETV特集)で放送された滝山病院に入院していた患者さんの退院支援をされてきました。
滝山病院は外来がない病院で、長期収容型の病院です。90%が非常勤の看護士で、日常から多摩地域の病院を掛け持ちしながら働いています。
職員からの虐待が主に報じられましたが、カルテの改ざんや預かり金の横領、IVHなどの不必要な高額診療報酬目当ての過剰診察などが事件の概要です。低いコストで病院を経営し、受け入れが困難と言われる方でも受けてもらえる病院と言われ、悪いうわさがありながらも最後の砦のように頼られるところになっています。
きつい投薬で心身ともに押さえつけ、報道で見たようにベッドの上から患者を見下ろし、手を振り下ろしている姿を想像すると地獄そのものです。
日本には、緒方洪庵が、ドイツのフーフェランドが書いた医師の心得を訳した12か条の「医戒」があります。その中に『同業のものに対しては常に褒めるべきで〜決して他の医師を批判してはならない』とあります。しかし、『前の医師の治療法を続けるかどうかは、現在症状がないときは辞退した方が良い』とも書かれています。この考えは、すべての患者に尽くすことが前提となっています。
滝山病院事件において、この前提がすっぽりと抜け落ちてしまい、現状を見過ごしていたのではないかと思います。
当日は103名の参加となりました。福祉職、地域の通所施設やグループホームの職員、居ても立ってもいられず来ましたと福祉関係以外の参加もありました。
今後の支援者としての志をしっかりと持たねばならないと思いました。
(ふぁーちぇ:麻 まり、松本 珠世)