「病棟転換型居住系施設」構想は、2013年の精神保健福祉法改正を受けて、約34万床ある日本の精神病床数を削減するために打ち出された解決策の一つです。作りすぎた精神科病棟(病床)の一部を老人保健施設やグループホームなど居住系施設に置きかえ、ベッド数と社会的入院患者を「減らした」とする策です。はたして、病棟内・病院敷地内の一室が「地域生活を送る場所」になりえるのでしょうか?
NPO法人大阪精神医療人権センター山本深雪副代表は「病院は、地域社会の資源です。病院での生活は、地域生活ではありません。」「本当の地域での暮らしを実現させる為には、長期の入院により退院や地域で暮らすことへの「自信がない」という患者さんが自信を取り戻すための支援こそ充実させていかなくてはなりません。それが地域社会の義務であるといえます。」と言います。
今年1月に批准した障害者権利条約19条「全ての障害者が他の者との平等の選択の機会を持って地域社会で生活する平等の権利を有することを認める」や、障害者基本法第3条2項「すべて障害者は、可能な限り、どこで誰と生活するかについての選択の機会が確保され、地域社会において他の人々と共生することを妨げられないこと」において掲げられている権利は、机上の空論となってしまうのでしょうか。権利条約の価値を大きく損なうことにもなりかねません。
6月26日、東京日比谷野音で緊急集会が行なわれ、この問題について抗議する3000人が集まる予定です。