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『精神病院を捨てたイタリア 捨てない日本』
著者:大熊 一夫 出版社:岩波書店 価格:¥ 2,520
著書は精神病院を捨てたという、イタリアの成功例の紹介です。
精神病院の牢獄のような生活で治療していくのではなく、外に出して地域の人たち、または精神保健センターと協力し合い、精神病者たちの生活サポートをしていくという。
精神病院に頼らないで、小さな地区割りで地域サービスを行い、また家庭的な施設や、先生と患者という関係性ではなく、君と僕という立場のない関係を結ぶことで、誰もが気軽に利用できる施設が生まれるという。イタリアでは精神病院をなくしたことで、精神病者の犯罪が増えるのではと考えられていたが、現在のところ増えてはいない様子。
イタリアで精神保健改革を推し進めた第一人者である、精神科医フランコ・バザーリアの言葉で、「鉄格子や鉄の扉の奥に押し込めることを正当化するような精神状態など、本来ないのだ。精神病者の、ときおりの暴力は、結果である。施設の中での抑圧で引き起こされた人間としての反応である。つまり、それは精神病院が引き起こす病気。精神病院などやめて、人間的存在たりうる温かい状況に置くことができれば、精神病者の暴力などなくなるのだ」とある。確かにそうだろうなと感じたし、日本でも実現できたら、どんなに良いだろうか。(ほっとはーと 前 史範)