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今回ご紹介するのは「焦らない、でも諦めない」(やどかりブックレット19 1,050円)です。
著者の黒川常治さんの言う、「自分らしさ」。自分の本来のリズム、自分の性格、本当の自分を感じとり、本来の自分を探していく自叙伝です。
30代からの時期を「うつ病」に支配されてしまった著者が、40歳の節目にこれまでの体験談や半生を綴っています。
誰にでも起こりうる精神病。著者もデザイナーという仕事に就いて、その道で生きていこうと決めたが夢半ばで倒れてしまいました。何度も再就職へと頑張るが、やはり倒れます。どう生きていくか迷ったときに、障害者手帳や精神の福祉ホームやグループホームの存在を知ります。そして精神の作業所へ通う中で、自分の居場所を発見していきます。
私の友人にも似た人がいます。著者と同じく20代で発症し、30代間近でまだ苦しんでいます。その彼に私たちはどう支えていけたらいいのか、悩むところですが、この著書を読んで、「ああ、彼はあの時こう思っていたかもしれないな」と思える文章がたびたび出てきます。彼も就職をしたいと願うが、長続きできず、辞めては家に閉じこもる生活。最近は家の畑仕事を任され、マイペースに作物を育てる中で生活リズムを取り戻していっています。そして今でも彼は就職を目標に掲げています。
そんな彼をみて、そしてこの著書の『どんなときも焦らずに、でも決して諦めない』という言葉がうつ病の当事者また支援者と共にこの社会を生きることだと大きく心に響いています。(前 史範)